アナルコ・キャピタリズム研究(仮)

★無政府資本主義の理論(経済学)◆リバタリアニズム▽海外リバタリアンの文献翻訳■時事問題・日常生活▼ロンドン暮らし

▽ステファン・キンセラ(翻訳)

知的所有権の労働価値説

知的所有権の擁護者は財産権の基準として希少資源の先占ということよりも創造と労働のほうに焦点を置く。そのため創作者の労働に「報いる」ことの重要性を過度に強調してしまう。それはアダム・スミスの間違った労働価値説が、マルクスのより深く誤った共産…

知的所有権は研究開発投資を減らすと同時にイノベーションのインセンティブを小さくしている

功利主義は倫理的に問題があるだけでなく、首尾一貫していない。彼らは知的所有権法を取り上げ、その法がプラスの純便益をもつかどうか判断するために、「便益」から「コスト」を引いたりするが、その時は個人間の効用比較といった非論理的なことをせねばな…

知的所有権を擁護する功利主義の誤り

知的所有権を擁護する人は功利主義的論拠に立ってそれを説明することが多い。彼の主張はこうである。すなわち、さらなるイノベーションと創造を促すという「目的」は、いっけん不道徳的な「手段」―自分の物理的な財産を思い通りに使うという個人の自由を制限…

希少性という問題がない世界では財産に関するルールは不要である

だがしかし、次のことは明らかであろう。つまり、財産権の由来、理由、機能を所与とすれば、それは希少な資源についてのみ当てはまる。もし我々がエデンの園(地上の楽園)にいて、土地も他のものも無尽蔵に持つとすれば、希少性という問題は存在しないし、…

良い塀は良い隣人を作る

そこで自然界というのは経済的に希少なものを含んでいるわけである。私が何かを使うことは、あなたがそれを使うことと衝突する(あなたの使用を排除する)。逆もまた同じである。財産権の機能は、特定の個人(所有者)に排他的な所有権を割り当てることによ…