知的所有権の労働価値説
知的所有権の擁護者は財産権の基準として希少資源の先占ということよりも創造と労働のほうに焦点を置く。そのため創作者の労働に「報いる」ことの重要性を過度に強調してしまう。それはアダム・スミスの間違った労働価値説が、マルクスのより深く誤った共産主義的搾取観につながったのとよく似ている。上で示したように、アイン・ランドにとって知的所有権とは、ある意味において、生産的な仕事つまり労働への報酬なのだ。ランドと他の自然権論的知的所有権擁護者は、混合的な自然権を採用しているように思える。すなわち、時間と努力を投資する人は報われなければならない、あるいはその努力から利益を得なければならない、といった功利主義的合理化である。(たとえばランドは、遠い子孫は先祖の作品を創造したわけではないために報酬を受けるに値しないという論拠をもって、永久的な特許権と著作権に反対した。)
N. Stephan Kinsella
AGAINST INTELLECTUAL PROPERTY
Creation vs. Scarcity
より