民主主義の神話その2: 人民が統治する
そもそも「人民」というのは存在しない。たくさんの意見や利害があるだけなのだ。「人々がペプシを欲しがっている」という場合でも、ある人々がそれを欲しがっているというだけなのである。政治的嗜好についても同じことが言えるだろう。人々全体の嗜好や意見があるのではなく、個人のそれがあるだけなのだ。
たとえば教育について考えてみよう。どんな教育が最善かということについては、各々が意見をもっている。でもそこに民主主義がくると、それはフリーサイズの服のように決められてしまう。個人の好みがむりやり全体に合わせられてしまうのだ。
そもそも民主主義において実際に主権を握っているのは、人民の意思ではなく、政治家の意思である。そして、それらはプロのロビイストや利益団体、活動家の意向を受けている。そこでは多数が反対するような意見が通るのだ。
(参考: Frank Karsten, Karel Beckman, Beyond Democracy, Myth 2 - The people rule in a democracy)