アナルコ・キャピタリズム研究(仮)

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Japan【形】(経済的に)にっちもさっちもいかない

(以下はDan Mitchell氏のブログ International Liberty - Restraining Government in America and Around the World 2013年1月15日付の記事を翻訳したものです。)

 

 

The Basket Case Sometimes Known as Japan

(壊れた機械、日本)

 

良い財政政策に力はいらない。政府は単に支出を制限すればいいだけだ。生産量を超える消費をしない、それが基本である。いいかえれば「ミッチェルの黄金法則」を守ればいい。

 

大きい公共部門をもつ国が財政を安定させることもありうる。大きな政府はたいした経済成長を望めないだろう。しかしだからといって自動的に崩壊するというものではない。スウェーデンデンマークがそのパターンの成功例である。

 

よりたやすいのは小さな政府によって財政を安定させることである。なんといっても少ない公共支出と少ない課税で経済は圧倒的によくなるからだ。香港やシンガポール、スイスが良い例である。

 

不幸にも多くの国の財政が死のスパイラルにはまっている。政府支出はうなぎのぼりになる一方、民間セクターはこれでもかというほど高い税金をもっていかれる。こんな破壊的な組み合わせで財政破綻を避けることはできない。

 

私はこれまでフランスやギリシャ、イギリスの潜在的な財政危機について警鐘を鳴らしてきた。政府の自動操縦を止められないアメリカにも悲惨な未来が待っているとも警告してきた。

 

しかし無茶で無責任な財政を行なう国としてポスターチャイルドになるのは日本かもしれない。

 

日本のパブリックセクターはすでに大きくなりすぎており、また先進国の中で最も多額の借金を背負っている。それにもかかわらず日本の新しい首相は経済復活のために、これまで以上のケインジアン景気対策を考えているのだ。

 

私はジョークを言っているのではない。日本経済は20年にもわたり低迷してきて、そのあいだ幾度となく景気刺激策を講じてきた。それにもこりず、経済の負けを取りもどすためにさらなるお金を突っ込もうとしているのだ。

 

ニューヨークタイムズがこの新しいポークフェスト(助成金祭り)に賛同しているのはいつものとおりである。

 

<日本の新首相になった安倍晋三は金曜日、総額1160億ドルにも及ぶ景気対策を発表したが、正しい方向である。公共事業の創出、投資税額控除、教育と医療への支出増大は瀕死の国家を蘇らせる起爆剤になりうる。医療支出の増大のような将来を見すえたいくつかのものが対策には盛り込まれている。>

 

ただしその社説も、政治力をもつ部門への補助金を減らすなど、景気刺激策には長期的な構造改革がともなわなければならないと、いちおうは断っているのだ。

 

いっぽうの税収側を見てみよう。いくつかの税について、日本は先進国の中でも最も高い税率を課している。じっさい、昨年まで日本はアメリカより高い法人税をもつ唯一の国だったのだ。高い法人税は企業の競争力をそぎ、経済成長を阻害する。かんたんにいえば、政府は働かないこと、貯金しないこと、投資しないこと、起業しないこと、ようするに生産的活動を行なわないことを奨励しているのだ。

 

そこで日本政府はいったい何を計画しているのか、あなたにはわかりますか。その通り、さらに税率を上げることなのです。以下、タックスニュース・コムからの引用である。

 

<与党の自民党公明党は税制改革について、富裕層への増税を含む新たな方法を模索し始めている。両党は公明党の打ち出す大規模不動産の相続税引き上げについては合意していないものの、高所得層の所得税引き上げにかんしてはほとんど問題がないという。新しい累進課税には、所得税について現行40%からの最高税率引き上げや、相続税について現行5000万円からの基礎控除引き下げが含まれる可能性がある。具体的内容は今月末、両党会議にて発表の予定である。>

 

いつパンクするとはいえないが、日本経済は現在のところほとんど崩壊を避けられなくなっているといえる。階級闘争的な課税策やケインズ政策は良い結果をもたらさない。カリフォルニアにしてもアメリカにしても、日本と太平洋を隔てて向かい合っているというだけで、なぜ自殺的な財政政策まで真似しなければいけないのか。私にはさっぱりわからない。