インド首相マンモハン・シンの改革
マクドナルドは官僚制?!で紹介されていた中野剛志『官僚の反逆』をさっそく読んでみました。主流派経済学は科学でないというくだりはなかなか的を得ていると思いましたが、アメリカの経済学Ph.D.はマクドナルドだという一節にはさすがに笑いました。庶民にはなかなか手が届かないものだと思いますが。
アメリカ経済学がダメならやはりイギリスでしょうか。オックスフォードの経済学Ph.D.を持つインドのシン首相。ケンブリッジ時代は「アダム・スミス賞」も獲った大秀才です。
Wikipediaの以下の記述を読むと、90年代以降のインドの躍進は自由市場を次々に導入した彼の功績だと言えます。
- 1991年6月、国民会議派のナラシンハ・ラーオ政権で大蔵大臣に就任した。当時インドは経済危機に直面していたが、シンは首相のラーオとともに経済危機克服に乗り出し、今までインド政府が行ってきた社会主義的な計画経済の代わりに市場主義経済を導入した。そして多岐にわたる経済改革を推進し、産業ライセンス制度の撤廃や対内直接投資の規制緩和、国営企業の民営化などを行った。結果としてインド経済は危機を克服し、実質経済成長率も1991年には2.1%だったものが1996年には7.6%にまで伸びた[5]。この功績などにより、1997年に第2回日経アジア賞を受賞している。
最近では
インド上院が小売り外資規制緩和を可決、シン政権は改革続行へ(ロイター-2012/12/07)
という良いニュースがありました。
これまで規制されていた10億人から成る小売りマーケットを開放することの正なる影響は巨大です。
インド 小売業に“ビックバン” 外資参入の衝撃(NHK 2012年11月28日(水))
によるとシン首相は例えば次のようなことを述べています。
- 「わが国では倉庫や運搬の設備が十分に整っていないため、多くの農産物が傷み廃棄されている。小売業に外国資本が参入すれば、物流整備を進めてくれるはずだ。」
インドには小売業者だけで4000万人もいるそうで、その大反発をクリアしたというのはすごいです。聖なる領域として守られ既得権益を得てきた古い者たちが去り、新しい者たちが10億人の消費者の生活を大きく改善するでしょう。