アナルコ・キャピタリズム研究(仮)

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リバタリアンはブラック企業をどう捉えるか

私の中では海外ニートさんというのは革命家だ。日本の労働環境がいかにクソかということを、滔々とそして緻密に述べていて、人気ブロガーになるのはもちろん、組織論研究者も必読ではないかと思わせるものがある。

 

ブラック企業が支配的になる市場というのは不自然であると考えられる。労働者にとってはホワイトが魅力的であり、有能な人間を集めるために、企業はホワイトへ向かうだろうからだ。

 

競争の不全が起きていると考えられる。労働者から見た場合、転職や起業が容易でないならば、経営側が交渉力をもつ。つまり労働者を買い叩けるだろう。

 

「解雇規制」が市場の機能不全の原因として特によく挙げられる。それは「正社員を手厚く保護する」「でも結局は流動性を低めて保護にならない」非効率な法律というわけだ。

 

海外ニートさんは一方、「解雇規制」を特に槍玉にあげるのはおかしいと考えていて、逆に、たとえば労働基準法の強化など、さらなる労働規制を求める。

 

たとえば役所が平日9時5時でしか開いてないことは、消費者に多大な不利益をもたらす反面、そこで働く人々にとっては利益そのものである。役所は市場での競争にさらされていない独占企業であり、放置しておけば社会全体の厚生を低下させるから、悪であると言える。

 

労働者の観点から見ると、まず潰れそうにない大企業というのは、役所同様魅力的な働き口である。事実上の独占(寡占)を形成している民間企業はたくさんある。特に銀行、テレビ局、電力会社などは最も政府に守られた産業である。

倒産するリスクの具合から、一般に役所や大企業は比較的ホワイトになりやすく、中小や零細の企業はブラックになりやすいと言えるだろう。

 

そこで中小や零細企業も、役所のように市場競争から守れば、ホワイト化するだろう。たとえば小売なら週5日、一日8時間の営業に限る。大規模店舗は禁止とする通称「さよならイオン」法の制定など。企業の経営者が恐れるのはSoftBankなどの新規企業の参入や、あるいはAmazonのような革命的企業である。だから参入規制やその他の産業保護法を作ればいい。

 

こうして日本は商品やサービスについて劇的に不便な国になるが、それと引き換えに良い労働環境を手に入れられる。コンビニはすべて廃止されることになるが、それでもより世界標準に近づいただろう。

 

今日はこのへんで結論に飛ぶ。望ましいのは、あまり働きたくない人が、失業せずに、低賃金で健康的に働きながら、そこそこの利便を享受できるような、選択肢が多い社会だと考える。そしてそういう自由度の高い社会は、最低賃金法や諸々の産業保護法や労働法を、次々に、一切廃止してしまうことで簡単に出来るのだ。

 

なぜそう言えるのか。おいおい説明していこうと思う。