じゃんけんからメカニズムデザイン4
じゃんけんではナッシュ均衡(各人グー・チョキ・パーを等確率で出す)がプレイされるとき、それ自体がコイントスのような偶然装置(抽選機械)になり、平等な資源配分(均衡において各人の期待利得は等しい)を保証するメカニズムとなる。
メカニズムデザイン的に考えると、まず始めに「誰にでも等しく勝つチャンスがある」という実現したいアウトカム(結果)がある。これは言い換えれば「各人の期待利得が等しい」ということであり、一般的に好まれる「資源配分の仕方」(仲良くn等分)だろう。そして次にこのアウトカムを実現するような方法(ゲーム)を考える。そこでじゃんけんは一つのいい方法(契約とも見ることができる)になるだろう。
メカニズムデザインは(ある目的を遂行するために)ある方法を作るということにポイントがあって、それは言ってみればゲーム探しのゲームである。ゲーム理論家の渡辺隆裕はじゃんけんのオルタナティブ・メカニズムとして「わたなべじゃんけん」を提案した。
これは麻雀の配牌にも使われる Modular arithmetic の応用であり、仮に100人でじゃんけんをしたとしても一発で勝者が決まるという優れものだ。(両手で100までの数字を表現することは簡単にできる。)
<参考:麻雀の配牌方法>
麻雀では親が2つのサイコロを振り、出た目の合計をプレーヤー数で割った余りによって開門場所を決める。4人打ちの場合、余りが1なら東家、2なら南家、3なら西家、0なら北家の牌山から牌を取り始める。
これは言い換えれば出た目が5, 9なら自分、2, 6, 10なら右、3, 7, 11なら対面、4, 8, 12なら左ということになる。(ウニ(右2)、サシ(左4)などと覚える。)該当するプレーヤーの右手側に出た目の合計を残し、親から順に4枚ずつ取っていく。
ちなみに7が出る確率が最も高い(6/36)ので、対面の右7が最も開門確率の高い場所ということになる。このことは次のサイトで確認できる。
骰子の確率:昭7年3月 林茂光麻雀研究所 発行の麻雀誌「麻雀」に掲載されたサイコロの出目に関する論考
http://www.asamiryo.jp/cmat02.html
(続く)