アナルコ・キャピタリズム研究(仮)

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Bond Street (2008年秋編)3

部屋と会社から逃げ出す気だったのだ。だが行く当てはない。これは住む所と仕事がないことを意味する。しかしそれより前に体調不良がピークに達していた。9月14日日曜日、近くのB&Bに行き料金を聞いてみるが、フラットと比べると3倍の費用がかかることがわかった。歩き回り疲れ果ててその日はあきらめて部屋に戻った。

次の日の月曜日、肉体的・精神的にボロボロのまま出勤した。気力が奪われてまともに声が出ない。ただの風邪なのにインフルエンザあるいは肺炎を疑うほど精神的に弱りきっていた。こういうときの友人ほどありがたく思うものはない。親友のS君が私の体調や家のことを心配して電話をくれた。そのような友人がロンドンにいるというだけで心強いものだ。

S君は日本人だが、信じられないことに9歳でこちらの全寮制の学校に放り出され、以来イギリスで一人で暮らしてきた。私よりかなり年下だが、生きる力は私よりずっと上。年上の女性を好むが、やたら年下にもてるそうだ。もてる男というのはよく話し、まめな男であるということを彼から実際的に学んだ。私は無口でまめでない上、選り好みするのでもてない。

(続く)