アナルコ・キャピタリズム研究(仮)

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『日常生活を経済学する』紹介その2

というわけで、内容を一部紹介していくことにする。特にお気に入りの箇所だけ。ところどころ訳を修正してある。
窃盗は他の形でのレントシーキングと同じ理由で非効率的である。(anacap:レントシーキングとは簡単に言えば交換や生産によらず利益を得ようとすること。またその結果起こる、利益がなくなるほど費用をつぎ込んでしまう不毛な争いのこと。) 窃盗犯も被害者も、共にもともとはすべて被害者の持ち物であったその同じ物を占有しようと競っている。窃盗犯が行う支出によって、盗品を誰か他の窃盗犯の代わりに自分が手に入れるか、それを持っていた所有者の代わりに彼が手に入れることになる。被害者が行う防御的支出は、同様にレントシーキングである。すなわち、盗難警報機の役割は、財産がその本来の所有者の手に残ることを確実にするものである。 もし財産権が不確実であると、一部の人たちには財産を自分たちに移転させようとして資産を支出する動機が生ずる一方で、一部の人たちには自分たちから移転されてしまわないように財産を保全しようとして資産を支出する動機が生ずる。 このことはその移転が私的なものであろうと公的なものであろうと当てはまる。課税対象となる所得を得ないようにしたり、課税商品を買わないようにすることは、盗難警報機を設置するのが窃盗から財産を守る(高価な)方法であるのとちょうど同じように、自分が課税されないようにする(高価な)方法である。 自分や自分の友人たちに特別な利益を約束する候補者に選挙資金を寄付するのは、強盗が道具に金を使うのとほとんどまったく同様に、自分たちのほうに財産を移転するよう金を使うことだ。 (第20章・合理的犯罪者と故意の事故より)