『日常生活を経済学する』紹介その1
デイビッド・フリードマン『日常生活を経済学する』はタイトルからはとっつきやすそうだが、実際は精密な議論の積み重ねで、読むのには相当骨が折れる。この本はWeb化もされているPrice Theory : An Intermediate Text というテキストのエッセンスを凝縮して、どうにか一般向けの体裁をとっているだけのものと思ったほうがいい。しかもフリードマンの丁寧でそつがない説明は、そのまま日本語に変換すると論理構造がつかみづらく、わかりにくい。実は元の英語のテキストが一番わかりやすいのだ。
『日常生活を経済学する』はフリードマンの帰結主義的(経済学的)無政府資本主義を理解するには必ず読まねばならない。全5部のうち、効率性の話から「市場の失敗」「公共財」、さらに法・制度の経済学へと続く第4部と第5部が重要である。