アナルコ・キャピタリズム研究(仮)

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民主主義の神話その6: 公平な富の分配の保証と、貧者救済のために不可欠である

ざっと言って、人々が生産したものの半分を政府がとり、再分配する。その大部分が利益団体に行く。EUの予算のうち5分の2は農業補助金だ。ほかに発展支援団体、銀行、大企業、テレビ局、環境団体、文化組織などが何十億もの助成金を得る。

 

圧力団体は助成金や特権、仕事を求めて際限のない闘いを行なう。皆が公的資金の入った飼い葉桶から食事にありつこうとするのだ。

 

圧力団体はまた、いかに法制度に影響を与えるかについての方法も知っている。たとえば価格上昇を通じて農業を利する輸入割当制度であったり、労働組合労働市場の競争を制限して賃金を高止まりさせようとする最低賃金制度である。これは低教育の人が仕事にありつけないという犠牲を払っている。

 

免許制度もそうである。これは競争相手を締め出す手っ取り早い方法だ。薬のインターネット販売規制や医師の免許制などである。特許や著作権についても免許制と同じものだと言える。

 

輸入割当制度(農産物の高価格)で犠牲になるのは、農業に携わらない大多数の国民である。しかし、一消費者あるいは一有権者の立場からすると、いちいちそれを糾弾するほど暇ではない。それどころか、こういう甘い汁を吸う人たちの存在を知らないというのが、国民の大部分だろう。じっさい、このような制度はかなりのコストを市民に負わせ、生活水準を下げるものであるのに。

 

貧しい人を助ける福祉について考えてみよう。たとえば教育や医療である。これらはどこの国においても自由市場はなく、政府にコントロールされている。それが貧しい人を締め出さないために当然と考えられている。だが、その結果はどうか。公教育は問題だらけだし、医療制度もそうである。

 

いっぽう、自由市場が行き渡っているスーパーマーケットはどうか。競争により価格が下がり、貧しい人でも食料品を買える。また昔は金持ちしか買えなかったクルマやパソコン、携帯電話などは、自由市場のイノベーションにより、今やブルーカラーの労働者や学生でも持つことができるではないか。

 

もし食料品店が、あるいはパソコンメーカーが、民主主義のもと公立学校のように組織されていたらと考えると恐ろしい。

 

(参考: Frank Karsten, Karel Beckman, Beyond Democracy, Myth 6 - Democracy is necessary to ensure a fair distribution of wealth and help the poor)