アナルコ・キャピタリズム研究(仮)

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デフレは病気

風邪を引いたときどうしますか。私は何も食べずにじっと休んでいるのが一番だと思います。体調が悪いときは空腹にしているのが最も回復を早めると考えます。薬は飲みません。野生の動物も断食によって不調やケガを治すそうです。病気になると食欲がなくなるのは、空腹にして自然治癒力を引き出すためであり、動物は本来そのようなメカニズムを備えているのですね。

 

ヒポクラテスは「自然こそが最良の医者である」と言いました。動物の体はそれ自体、本来的に不調を治すメカニズムをもっているのです。そして医聖によれば病気とは失われたバランスを取り戻そうとしている状態のことなのです。

 

体の不調は薬や手術で治るのではなく、休養によって治癒力が十分働くことによって治るのです。医者や病院は、薬や手術で治るのだと人に信じこませる経済的インセンティブがあるだけです。

 

私は経済の不調についても同じように考えます。社会には価格メカニズムという強力な力をもち横たわっている自生的秩序があります。価格メカニズムはいわば自然治癒力です。市場というのは、複雑な諸要素が見えざる手によって、できるだけ良い状態つまり効率的な状態に調整されるようできているのです。レッセフェールとはまさに「ほっとけば治る」という意味です。

 

政治家と御用経済学者は、薬や手術をすすめる医者や病院と同じで、経済の不調は金融政策で治るのだと人に信じこませる経済的インセンティブをもっています。(「ほうっておくと危ない」と患者を煽りながら。)

 

デフレは価格メカニズムによって経済の不調が治っている過程です。価格を調整し、失われたバランスを取り戻そうとしている状態で、ヒポクラテスが言うところの病気です。体の不調が正常に戻る過程が病気ならば、それは悪いことではなく良いことです。

 

経済の不調に金融政策という薬や手術はいりません。