アナルコ・キャピタリズム研究(仮)

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消費者が君主になる資本主義社会

資本主義と敵対する保守主義者と「進歩」主義者は、古い基準に関して意見の一致を見ない一方で、資本主義社会の基準をダメだと決めつけるということで完全に一致している。保守主義者と進歩主義者は、彼らの仲間から高い評価を受けている人ではなく、つまらない価値のない人間が富と名声を得ていると思っている。そして両集団とも、レッセフェール資本主義にはびこる明らかに不公正な「分配」方法に代わる、より公正な手段を外目では探している。

 

さて、規制されない資本主義のもとでは、不変的な価値基準ということから見て好まれるべき人物が、最も良い人生を送るのだと、そのように主張した人間は未だかつていない。市場の資本主義的民主主義がもたらすのは、人間がその「真なる」美徳と生来の価値と道徳的高貴さに応じて報われるということではない。人間の豊かさを決めるのは、正義の「絶対的」原則からの貢献評価ではなく、個人的な需要と願望と目的という自身の尺度を排他的に適用する、彼の仲間たち側の評価なのだ。これこそがまさに市場の民主的システムということが意味するものなのである。消費者が最高位、すなわち君主だ。彼らは満足することを望む。

 

Ludwig von Mises

THE ANTI-CAPITALISTIC MENTALITY

Status Society and Capitalism

より