アナルコ・キャピタリズム研究(仮)

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「自然」独占の神話

経済学基礎の授業をとる学生なら誰でも教えられることがある。いわゆる公益事業(電気・水道・ガスなど)というのは政府が20世紀初めからずっと規制している独占であり、そうすることによって国民を自由市場あるいは「自然」独占の悪魔から守っているのだ。授業では以下のように解説される。大きな固定費用(たとえば発電所の建設費など)を伴う産業では、顧客一人当たりにかかる費用は、いったんプラントを立ち上げ稼働させた後では急激に下がる。いわゆる規模の経済である。そしてこれは20世紀初頭の公益産業の全部に当てはまる。

 

そこで想定されるのが、一つの大企業がそのような低コスト(と低価格)を達成すれば、市場ですべての競争相手を駆逐することができ、「自然」独占になるという状況だ。この企業はその時点で独占価格をつけているだろう。そしてこういう「市場の失敗」理論の系の一つが以下になる。すなわち、政府が介入し、許可制の下、意図的に「特権的独占」を作った。それから「公共の利益のために」価格を規制し、独占的でない水準にした。

 

だが、このような話は何一つとして証拠がない。自由市場とか「自然」独占の方向に進化したことなど一度もないのだ。公益事業の独占はすべて政府によって作られたのであり、その利益は政府と、電気・水道・ガスおよびその他の産業の、政府とグルの企業に行くのである。

 

Thomas J. DiLorenzo

ORGANIZED CRIME: UNVARNISHED TRUTH ABOUT GOVERNMENT

6. Truth and Lies about Markets

より