アナルコ・キャピタリズム研究(仮)

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税金鳥をぶっ壊せ!Demolish The Machinery of Unfreedom and Play Fair

KnightLibertyさんが紹介されたドラえもんの「税金鳥」のエピソードは経済寓話として実に優れていると思いました。発掘していただき有難うございます。この1979年の小学四年生が読んだ、たった10ページ66コマの短編漫画は最高の経済学です。世界中のリバタリアンにぜひ知ってほしいですね。私も探して見てみようと思います。

 

最初少し読んでランズバーグの『フェアプレイの経済学』を思い出しました。これは簡単な寓話から、真の公平とは何かを考える、おすすめしたい経済学の本です。例えば:

 

公園では親たちが自分の子どもにいろいろなことを言って聞かせている。だが、ほかの子がおもちゃをたくさん持っているからといって、それを取り上げて遊びなさいと言っているのを聞いたことはない。一人の子どもがほかの子どもたちよりおもちゃをたくさん持っていたら、「政府」をつくって、それを取り上げることを投票で決めようなどと言った親もいない。

 

さて経済学とはインセンティブを考える学問です。

 

「税金鳥」ではドラえもんの道具が人々のインセンティブを変えて行く様がまず面白いですね。そして全然為政者の思い通りに行かないこと。意図せざる結果です。さらに最後はジャイアンの感情的な、非合理的な行動によって破局を迎えます。

 

過度の累進課税は金持ちのスネ夫をターゲットにしているが、租税回避行動をとらせる。効率的であろう小遣い制度を破壊し、貨幣制度あるいは市場そのものを非効率に変容させます。

 

経済学とはまたwelfareと効率を考える学問です。

 

課税というのは単に右から左へ、金持ちから貧乏人へ所得を移転させるだけではありません。再分配を支持する人は、人々の限界効用を均等化しようとしますが、それは全体のパイを縮小させます。課税は人々の生産と消費について不正な、つまり非効率を生むインセンティブを与えます。経済学でデッドウェイトロスとして知られるものです。

 

さてKnightLibertyさんの記事にはありませんが、徴収した税金の行方がわからないというのも示唆的ですね。ドラえもんが回収していたのでしょうか。まあ彼なら未来との間でうまくマネーロンダリングする方法を知っていたでしょう。

 

いずれにせよ、善人のふりをしてこのような犯罪を後押しする道具を平気でポケットから出すドラえもんは断罪されなければいけません。

 

この企ての首謀者たるジャイアンのび太は、市民のための図書館や野球場の建設という公共善、あるいは利他的行動を装いながら、明らかに私的な利益のために行動しています。まさに税の本質であり利益政治そのものです。

 

この作品が書かれた後、日本は繁栄の80年代を迎えました。われわれは直ちに日本中の空を飛び回る税金鳥どもをバットで、いやできるだけ穏健な方法で破壊せねばなりません。それが陰鬱な未来から来たタイムトラベラーが我々に教えてくれたことです。

 

最後にDavid FriedmanのThe Machinery of Freedomよりこの作品に関連する部分を引用し、本の紹介とさせていただきます。

・限られた資源を配分する問題で、 直接物理的な力を使うのは 非常に劣った方法である。 そこでそれは一般的に 小さい子供と大きい国家だけに採用される。

 

私有財産制度とは違って公有財産制度のもとでは、 財産は政治そのものに支配され、 その目的を達成するために使われる。 だが 政治とは、個人の目的の多様性を無理矢理 ある「共通の目的」のセットに押し込むことである。 (個人の目的を、多数派や政権党の目的、 あるいは政治権力をもつ個人や団体の目的に 押し込む。) したがって 公有財産制度とは、「共通の目的」を 個人に押し付けるということなのである。

 

・政府とは合法化された強制力をもつ機関のことである。 他の強制力をもつ機関(ギャングなど普通の犯罪組織)と政府を区別する特徴は、 たいていの人が政府の強制を正常で適切なものとして受け入れるということだ。 私的な個人が行なえば強要と見なされる行為も、 政府の代理人が行なえば正当なものだと見なされるのである。

 

もしわたしが、自分の財布をもって逃げる強盗に向かって、「止まれ、泥棒!」と 叫べば、周りにいる人たちは助けてくれるかもしれないし、 助けてくれないかもしれない。だがすくなくともわたしの行為が無理のないものとは おもってくれるだろう。 もしわたしが、 自分の銀行口座の凍結を伝えて家を後にするIRS(国内歳入庁)の職員に向かって、「止まれ、泥棒!」と 叫べば、近所の人たちはわたしのことを気が狂ったとおもうだろう。 客観的にいって、IRSは泥棒と同じ行為をしているのだ。 IRSはわたしの許可なしにわたしの資源を取り上げている。 IRSがわたしの税金と引き換えに、わたしにサービスを提供していると主張するのは 正しい。だがIRSは、 わたしがそのサービスを欲しいか欲しくないか ということにかかわらず、 税金をとることを強要しているのだ。 それを強盗というかどうかは微妙なところである。 だがいずれにせよ、 もしそれが私的な集団の行為であれば、 それは犯罪であると誰もが同意するだろう。

 

(初出:Libertarianism Japan Project 2010.11.05