アナルコ・キャピタリズム研究(仮)

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【悪法】政府がセブンイレブンを経営するな

セブンイレブン 独禁法に問われた値引き制限(6月23日付・読売社説)

 弁当など日持ちしない食品のコンビニでの販売方法が、変わる可能性が出てきた。

 コンビニ業界最大手のセブン―イレブン・ジャパンに対し、公正取引委員会独占禁止法違反(不公正な取引方法)の疑いで排除措置命令を出した。

 傘下の加盟店が、販売期限が近づいためん類や弁当などを値下げ販売することを、セブン―イレブン本部が不当に制限したとし、値下げを認めるよう命令した。

 加盟店にとって廃棄処分とする食品の量を減らし、消費者も割安に購入できるなど、値下げ販売のメリットは大きいが、本部側は推奨価格での販売にこだわった。

 値引きに圧力をかける行為は、コンビニ業界全体で広く行われてきたが、もはや通用しまい。

 セブン―イレブンは公取委の命令を早急に受け入れ、他のコンビニ本部も命令に倣って、値下げ販売を認めるべきである。

 セブン―イレブン本部と加盟店との契約では、弁当などを廃棄する場合、費用を加盟店側が負担することになっている。

 このため、損失を少なくしようと値下げに踏み切る加盟店が出てきた。これに対し本部が、フランチャイズ契約の解除を示唆するなどして、待ったをかけていた。

 見切り販売を容認すると、定価販売している時間帯の売り上げが落ちるうえ、ほかの商品にも値下げが波及する恐れがある、というのが本部側の言い分だ。

 これに対し公取委は、2002年に改定したコンビニ業界に対する指針で、正当な理由なしに値引き販売を制限することは、独禁法が禁じる「優越的地位の乱用」に当たるとし、警告していた。

 その指針にもかかわらず、不当な行為を繰り返していたとして、業界のリーダー的存在のセブン―イレブンに、最初にメスを入れたというわけである。

 流通業界などから出る食品廃棄物については、「処理に費用がかかり、食料自給率向上の観点からも問題だ」と指摘されてきた。

 その通りだろう。捨てられた食品の多くは、ゴミとなって処分場に運ばれ燃やされる。日本は大量の食料を輸入しているが、食べられるのに捨てられる量は、年間500万~900万トンに及ぶと推計されている。

 国内の年間コメ生産量の約900万トンに比べて、その量の多さがわかるだろう。貴重な食料の無駄を減らす意味からも、値引き販売は認められて当然である。

(2009年6月23日01時33分  読売新聞)

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20090622-OYT1T01123.htm