アナルコ・キャピタリズム研究(仮)

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じゃんけんからメカニズムデザイン

私の通っていた中学校は不良の集まりで本当におもしろかった。一方で有名なスパルタ塾に通っていた私にとって中学校は遊びに行くようなものだった。

色々な遊びがあったが私が一番夢中になったのは賭け事である。休み時間の教室は複数のテーブルで構成される賭場になっていた。携帯性に優れたゲームであるトランプや花札、サイコロ等を様々なバリエーション(ルール)で楽しんだ。

賭け金は基本的に小遣いを超えない程度。現金がなくても参加できるよう結果だけ帳面に記録(後払い)。清算は恣意的で強制力もなし。平和的で友好的な支払いが行われるのみ。そもそも胴元がいないので、長期では確率的に配分が均等化される。つまり期待値はゼロで、すべてがチャラということである。

放課後などはスリルの度合いを高めるために賭け金のレートを上げることもあり、その場合は一日の負債が1ヶ月の小遣いぐらいになったりすることもあった。しかしそんなときは支払いは行われない。それでよかったのだ。友達には代わりに敬意を払った。彼にとっては「あいつは強い」という評判こそが儲けだったのである。

(続く)