『無政府国家への道』紹介その1
ピエール・ルミュー『無政府国家への道』は絶版・入手困難になっている本だ。そこで私のお気に入りの箇所を抜き出していって紹介することにする。訳が読みにくくなっている所は適宜わかりやすく言い換えたり、冗長なものは簡略化して要点だけ書いている。
序論 国家管理主義と無政府状態 より
・人々は皆、出生の地理的偶然とそれまでの戦争による国境操作とによって、(愛国心を強要する)ある牢獄につながれてしまっている。ただそれだけの理由で彼は身体と財産をその地の多数派に従属させねばならないのだ。
・3人からなる世界を考える。1人は健常者、2人は盲目。投票により1人の両目が2人に再配分されることになる。この投票は多数派に個人の財産を収容する権利を与えるのに十分というのか。
・社会的というのは善と同義でなく、民主主義というのは正義と同義ではない。
・もし国家が現代の諸問題を解決しようとして失敗するなら、国家の拡大に解を求めてはならない。
・ライサンダー・スプーナーは1870年に、政府は「強盗と人殺しの一団」でしかないし、民主主義政府は「強盗と人殺しの秘密の一団」でしかないと書いた。課税は強奪でしかなく、しかも偽装され継続されるのでなおさら悪い。