アナルコ・キャピタリズム研究(仮)

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無政府国家へのルート

世界から国家というものが同時に消滅し、世界が同時にアナルコ・キャピタリスト社会に移行するなら国防の問題はないので話は簡単である。だが別にそうならなくとも、ある国家の大多数の市民が思想的に変化し自由社会を望むようになれば、単独で無政府資本主義社会に移行するだろう。各種の規制がなくなっていき、世界中から資本つまりお金と人が一気に流入してくる。となると防衛費はそのわずかな割合でいいから、寄付なり広告モデルなりで市民は簡単に外敵から守られる。 ここで必ずしも現在ある国家から移行しなければならないというわけではない。また大多数の市民の思想が変わらなくてもいい。一部の大金持ちたちの思想がアナルコ・キャピタリズムに行き、ある企業家によってそれが結集されると考える。どこかに建設されるその社会がもし周辺国家に侵略のインセンティブを与えないほど強い防衛システムを備えるなら無政府国家が誕生する。 ある国家が議会での承認を経て正統に無政府国家へ移行するという場合でさえ内部の反対勢力との衝突は避けられないだろう。また大金持ちたちが新国家を適当な場所に作ろうとしても、関係する政府が彼らの独立あるいは亡命を許さないはずである。独立派あるいは亡命派のアナルコ・キャピタリストたちの比較的現実的な方法は、どの国の領海でも排他的経済水域でもない公海上に人工島を作り都市を建設することだが、その場合でも関係する政府(強盗の怪物)との衝突が起こるだろう。 世界同時移行・単独移行・新国家建設、どれも現実には難しいし少なくとも2~300年は実行されないと思われる。だが心配せずとも現に資本主義と科学技術の発展はアナルコ・キャピタリズムを志向している(特に社会主義の劇的失敗と情報技術の飛躍的進歩は誰の目にも明らかである)。無政府資本主義の伝道者はこれに乗ってその考えが自然なものであること(あるいは近代の国民国家や民主主義というものが妙なアイデアであるということ)を人々に知らせればいい。 国際法を学ぼう!第5部 国家の領域 Seasteading - What's That? Dynamic Geography: Blueprint for Efficient Government A Cyberspace Conversation with David Friedman