アナルコ・キャピタリズム研究(仮)

★無政府資本主義の理論(経済学)◆リバタリアニズム▽海外リバタリアンの文献翻訳■時事問題・日常生活▼ロンドン暮らし

俺、イギリス人になる。私、ロシア人になりたい。

中学の時、進路相談で担任の先生にイギリス人になりたいんですと言ったら、八方手を尽くしてくれて本当にイギリス人になれた。その思い出を妻に話すと「イイセンセイニ メグマレタノデスネ アナタ」と言ってくれる。平凡な日本人中学生は「センセイ オゲンキダロウカ」と、言葉はもちろん顔まで白人のイギリス紳士になっていた。

競技が好きでうまくなりたくて、本場の国に渡航して修行し、国籍までとったというバンクーバー五輪・フィギュアペア・ロシア代表の川口悠子さんを見て、上の『伝染るんです。』のネタを思い出した。

他国の国籍が自由にすなわち安価でとれる世界を考えよう。現実の世界は法律も通貨もバラバラなアナーキーな状態、つまり擬似的な無政府資本主義社会だが、ただ国籍が自由化されるだけで本物のそれに大きく近づくのだ。

国籍の問題・自由移民の問題というのは、半分、自国民の既得権益保護の問題であり、それはつまり自国の労働者保護と福祉という2つの反市場的制度の問題、すなわち忌むべき民主主義の問題である。

国籍が問題になるもう半分の理由は「文化的統合」を嫌う進化論的感情であるが、もし所有者の意思を効率的に反映する私有政体が十分な数あって、競争を行ない、消費者が自由に選んで契約できるなら、その進化論的問題は解決される。

民主主義をとらない、利潤を追求する私有政体が市場競争を行なうとき、我々はあらゆる強制と非効率から解放されるが、そこでは同時に国籍や移民の問題も解決されている。これがアナルコキャピタリズム社会であり、真の自由社会である。